2024年3月「未来のリーダー教室」導入編を開催しました

日産財団は2024(令和6)年3月10日(日)神奈川県川崎市のステーションコンファレンス川崎で「未来のリーダー教室導入編」を開催しました。全国各地から応募した16人の中学生・高校生たちが参加し、リーダーシップへの興味・関心を深めました。受講生たちの当日の様子とともに、オブザーバーとしてご参観いただいた学校教諭や企業社員のみなさんの感想もお届けします。

中高生たちが「ぐるぐるシンキング」の体験にのぞむ

16人の中学生・高校生たちには、神奈川県などの首都圏のみならず、静岡県や長野県からの参加者も。会場の席に着くと、今回ファシリテーターをつとめていただいたた相模原中等教育学校の上崎雅美先生から、「答えが一つに決まらない時代です。だからこそ『私』をとりまく技術、地球環境、人びと、政治経済がどうなるか考え、だから私はこうするとやってみて、またまわりが変わるのを見て、私はこうするとやっていく。この『ぐるぐるシンキング』をみなさんに今日は体験してもらいます」と、「未来のリーダー教室」の目的が伝えられました。


ファシリテーターの上崎雅美先生から「ぐるぐるシンキング」について聞く

受講者たちが一気にうち解けたのがアイスブレークです。2人1組で、「イチ!」「ニ!」とおたがい数え「サン」で手を叩いたり、足踏みをしたり。また、ジャンケンで負けた人がつぎつぎ最後尾にくっつく「じゃんけん列車」をしたり。上崎先生から、それぞれ「まちがいをおそれずやってください」「だれもがリーダーにもフォロワーにもなりうるのです」とアイスブレークの意図を聞きました。


「じゃんけん列車」でアイスブレーク

リーダー像を考え、未来を見通し、作品を鑑賞し、言葉をかけ合わせる

うち解けあった受講者たちは、いよいよ各章を受講していきます。

第1章「リーダーシップ」では、「リーダーとはどんな人?」「どうして?」と考えるワークにのぞんだあと、マスター講師をつとめる早稲田大学商学学術院教授の池上重輔先生による最新の動画講義を視聴しました。ゴールを示す「リーダーシップ」と、示されたゴール達成の実行を担う「マネジメント」のちがいを聞き、地政学、人口動態、経済、社会的価値観、科学技術などさまざまな状況が変化するなか、「みんなが合意できそうな方向性をうちだし、主導していく人がリーダー」というレクチャーを聴きます。さらに、「フォロワー」「メンバー」の存在の大切さにも触れました。


池上先生のリーダーシップについての動画講義を受ける

第2章は「未来を見通す『システム思考』」。受講者たちは「自分で社会全体に関して興味あること」を挙げていきます。では、それらがテクノロジーの進歩でどうなっていくのか。マスター講師で日産財団理事長の久村春芳先生からの「テクノロジーが変える未来」という講義を受けました。さらに、日産財団常務理事でもある原田宏昭先生から、今回より動画に加わった「未来を見通す思考法」というテーマで、「ツリー」「マトリクス」「ダイナミクス」の三つの観点を、未来を見通すために応用する実践を聞きました。


今回より動画講義に加わった「未来を見通す思考法」に触れる

第3章のテーマは「自分に気づいて世の中にリンクするアート思考」です。受講者たちは、マスター講師で玉川大学芸術学部助教の栗田絵莉子先生から、「アートとは既成概念の破壊と再構築」というアート思考のメッセージを受けました。その後、アート思考を体験するための作品づくりに挑戦。おたがいの作品を鑑賞しあうことを経て、おなじくマスター講師でリフレクトアート代表取締役CEOの福村彩乃先生が話す「アーティストは作品を見た人がどう思うかを大切にしています」というメッセージに聴き入っていました。


作品について「どう見たか」「どう見せようとしたか」を伝えあう

第4章のテーマは「新しい未来を創るSF思考」です。受講者たちはまず「学校にあるもの」「好きなもの」を挙げていきます。その上で、マスター講師で北海道大学CoSTEP特任助教の宮本道人先生からの「分野をかけあわせて新概念を生み出そう」といったメッセージを聴きました。そして、ワークにのぞみ、「分野のかけあわせ」で、いまの世界にない概念を創りだす体験をしていきました。


「かけあわせ」で未来の職業を創りだす

最後に、受講者たちは、上崎先生からの「やるかやらないかがすごく大事。みなさん、あしたから行動に起こしていただければと思います」というメッセージを受けとりました。

「新たな価値観に出合う、クリエティブな場でした」

今回の「導入編」にのぞんでみての感想を、参加者のみなさんから伺いました。まず、受講者のみなさんの感想を紹介します。

「やりたいことや興味のあることはあったけれど、いままでどう生かしていけばよいかわかりませんでした。でも、この講座を受けて、すこし勇気が出たので、夢を実現させたいと思いました」(中学2年・女子)

「将来の自分の可能性を考えたうえで、未来のためにいまやることを思索することが必要だと感じました。とても興味深い内容でした」(高校1年・男子)

「他校の人と関われ、新たな価値観に出合う、想像を超えたクリエティブな場でした。ためになる思考法を学ぶことができます」(中学3年・女子)

「固定概念にとらわれないで考えるようにするきっかけにすることができて、よかったです」(高校2年・男子)

また、今回の導入編を見届けた学校の先生と企業の社員の方にも、それぞれ感想を聞きました。

「『未来のリーダー教室』に携わるほかの先生から紹介され今回、見学しましたが、受講者たちがすごいなと思いました。ファシリテーターや講師からの話を聞く姿勢もそうですが、アートの時間では(作品づくりを)やってみようといわれ、ぱっと動いていました。自分も学校でやれるならやりたいと思いました」(学校の先生)

「率直におもしろいなと思いました。マスター講師たちの多方面からの講義を聴いて、見方や考え方を変えるという話を受け、私自身も感じるところがありました」(企業の社員)

最後に、ファシリテーターをつとめていただいた上崎先生に、今回の導入編をふり返っていただきました。

「アイスブレークは独自のもので、正解は一つでないということを伝えることができました。受講者も私ものってきてからは、時間配分を考えることより出された意見をもとに話しあうことを重視しました。もちろん、コンテンツがしっかりしているので、どのような人であってもこの導入編をファシリテートすることはできると感じます。これからも世界はどんどん変わっていくので、『未来のリーダー教室』もアップデートを重ねていくことを期待しています」(上崎先生)

今回の導入編の受講者のなかには、その後に開催した「展開編」に参加してくださった人も多くいました。未来のリーダーについて考え、「ぐるぐるシンキング」を続けていくことに強い興味も抱いてくれたみたいです。展開編のレポートも後日お伝えする予定です。

「未来のリーダー教室」導入編に参加してくれた中高生のみなさん、マスター講師やオブザーバーのみなさん、そしてファシリテーターの上崎先生、ありがとうございました。今後とも「未来のリーダー教室」をよろしくお願いします!