わくわくサイエンスナビ

理化学研究所仁科加速器研究センターにて開催!

<開催日:2017年8月8日>

埼玉県和光市の理化学研究所仁科加速器研究センターで「わくわくサイエンスナビ」を開催しました。小中学校の先生16名が最先端の科学に触れ、研究者たちと対話をしました。

「環境は人を創り人は環境を創る」

理化学研究所は日本で唯一の総合科学研究所。2017年は設立100年に当たります。また、和光市に新研究所を開所してから50年にも当たります。

理化学研究所理事の有信睦弘さんからは、「飽くなき好奇心で新しいことを追求している研究者たちとお話をして、ぜひわくわくしてください」と、ご挨拶をいただくとともに、科学のおもしろさ、深さ、広さが伝わる100冊の本を選んだブックレット『科学道100冊』を紹介していただきました。

また、広報室の川井和彦さんには、第4代理化学研究所所長をつとめ、この研究センターの名前にもある仁科芳雄博士の「環境は人を創り人は環境を創る」ということばを紹介していただきました。

 
有信さん                    川井さん

「ニホニウム」発見の現場を見学

つづいて参加者の先生たちは、センター内の研究・実験施設を見学しました

このセンターは、アジアで初めて命名された元素「ニホニウム」(113番元素)が発見された現場です。参加者の先生たちは、加速器基盤研究部の加瀬昌之さんと森田超重元素研究室の加治大哉さんに案内され、その実験施設を見学しました。113番元素を得るため、亜鉛の原子核を加速させてビスマスにぶつけた「RILAC(ライラック)」という装置、また、観測したい粒子のみを導くことで113番元素を検出した「GARIS(ガリス)」という装置を目の前に先生たちは興味津々のようすでした。

 
加瀬さん(右端)                加治さん(右端)

さらに、地下にある「RIビームファクトリー」という巨大施設にも、延與放射線研究室の渡邊康さんに案内していただきました。4つの巨大な円形加速器をつなぎ合わせることで、ウランなどの原子核を最大で光の速さの70%まで加速させ、他の粒子とぶつけます。これにより、原子核の性質を調べたり、元素の起源を解明したりといった研究がおこなわれています。何人もの先生が「加速器の大きさを実感できました!」と感想を言います。

 
                       渡邊さん

素朴な疑問を研究者に質問

見学から戻り、部屋で昼食をとったあと、参加者の先生たちは改めて加瀬さん、渡辺さん、加治さんに質問をします。

「ニホニウムは、ほんのわずかな時間しか存在しないそうですが、なんの意味があるのかって生徒からよく聞かれるんです」

「たしかに私たちのつくったニホニウムは、2ミリ秒のうちに壊れていきますので、実用的に役立つことはないのですが、多くのみなさんにこれほど元素に注目してもらい、お子さんを含め身近に感じてもらえたことは、大きな効果があると思っています」

「RIビームファクトリーでは、なぜおもにウランが使われるんですか」 

「原子核を調べるためには、原子核を壊す必要があります。小さい原子核を壊しても、それより大きなものはできません。簡単に手に入るもっとも大きな元素はウランなんですね」

先生たちは、ニホニウムの発見に至るまでの研究者たちの努力や、それを実現した機器の性能の高さなどを感じていたようでした。

 

 子どもに伝えるためのワークショップに挑戦

その後、先生たちは4チームに分かれて、サブテキスト『私たちは宇宙からやってきた!』を活用した授業案をつくるワークショップに臨みました。「わくわくサイエンスナビ」では、先生たちが得た「わくわく」を学校で子どもたちに伝えて、授業や教育に活かしてもらうことを目的としています。

各チームからは、113番元素の発見を題材にあきらめず努力することの大切さを伝える授業や、科学・技術や科学者マインドをもつことの大切さを伝える授業、原子をデザインさせつつ原子がつくられる過程を学ぶ授業、また、放射線の良いところと悪いところを考えさせる授業などの案が発表されました。

自分たちのつくった授業案をぜひ学校で活用したいと、スマートフォンで撮影する先生たちも。

 

 

 日本を支える子どもたちのため「学習観の転換」を

各チームの発表後、理化学研究所のみなさんからコメントをいただきました。 「周期表はひとつの世界ですが、その下には各図表というもうひとつの世界が広がっています。それぞれの世界がどう解明され、どう発展していくのかはおもしろいもの。子どもたちにおもしろい授業をしていただくことを願っています」(加瀬さん)

「水素などの原子と、原子を構成する陽子や中性子では、加速に必要なエネルギーが100万倍も違います。でも、その階層の間には途中があるわけで、そこの相互作用に着目していただけるとよいと思います」(渡邊さん)

最後に「わくわくサイエンスナビ」プロジェクトリーダーの美馬のゆり日産財団理事(はこだて未来大学教授)が、「学習観の転換を意識した連携による人づくり、国づくり」というテーマで話題提供しました(内容はこちらでもご覧いただけます)。

「日本は将来、人口1億人を切ると予想されています。そんな日本を支える子どもたちを育てていかなければなりません。そこでは学習への新しいアプローチが求められます。いま言われているアクティブラーニングでは、体験するだけでなく、学ぶことで現れた問いを意識化し、概念化して、応用可能な知識にまでしていく過程が大切です」

「米国ではエンジニアリング・デザインの重要性が叫ばれています。社会の課題の解決に向け、制約のもとで問題を定義し、解を見つけ、プロトタイプをつくり、テストし、最適化する。その過程がエンジニアリング・デザインです。新しい考え方やアプローチを考えだす人の時代です」

 
                       美馬理事

 「研究者の熱意を伝えたい」

参加した学校の先生たちは、「本物を見ることができました。生の声を聴くことができました」「研究者の熱意を感じられたのでそれを伝えたいです」など、感じたことを胸に理化学研究所をあとにしました。

参加した先生のみなさん、理化学研究所のみなさん、どうもありがとうございました!

ページの先頭に戻る