わくわくサイエンスナビ

活用事例紹介

(2)東京大学編

・奈良教育大学附属中学校 山本 浩大先生(理科)
・神奈川県横浜市立浜中学校 高橋秀世先生・酒見好雄先生(理科)

 

 

 

 

山本 浩大先生(理科)

 

 

 

 

①テンセグリティの授業

「教科書には無いことだったことや受験勉強中の授業だったので非常に興味を持ち取り組んでいました」

 東大TVの「テンセグリティ(Tensegrity):細胞と建築をつなぐ骨組み」と同じように授業をしました。異なる点は、実際に生徒たちに剛体を作成させたことです。その際、6歳程度の子どもの知育教育に使われている、棒磁石と鉄球を用いて剛体を作成しました(下図参照)。

 接点の数が36点のそれぞれの剛体を作成し、接点の数と使用した部材数を記録させました。そして、必要な部材数を求める公式を生徒たちに導きださせました。

<今後に向けて>

 中学校の授業で導入しようとすると、エネルギーや力の単元になります。テンセグリティという構造が3次元でどのように力がはたらいているのかを生徒たちが理解できれば授業の中でも取り入れられるのではないかと授業をして思いました。今回は実際に剛体を作り出したり、テンセグリティを作ってみたりという作業があったから生徒たちは何となく理解できたと思いますが、なかったら興味を持たなかったと思います。もし今後もワクワクサイエンスナビがあるのであれば、力の分布がどのようになっているのかを教えていただければ、授業で活用できるのではないかと思いました。


図 磁石の棒と鉄球を用いて3456点、それぞれの時の剛体を作成している(左・右)


図 棒と輪ゴムでテンセグリティ構造を作成している(左・右)

②膜天井の授業

 膜天井の話は、位置エネルギーと絡めて授業しました。まず、位置エネルギーと運動エネルギーについては既習事項であったので、それぞれのエネルギーに比例する変数について確認しました。その後、もし地震が起きたときに、危険だと感じるものや場所について学校内を見学しながら考えました。

 意見がほとんどなかった、天井についても言及し、建物の倒壊や棚等からの物の落下以外にも内部で起こる天井落下があることを、画像を見せながら教えました。天井落下による人身への被害をエネルギーの観点から教え、どうしたら被害を軽減できるのかを考えさせました。テキストを用いて膜天井が東京大学で研究されているということを教え、位置エネルギーと膜天井についてまとめました。

<今後に向けて>

 生徒に校内巡りを行い危険と感じた物や場所について問うと、下のような結果になった。天井の落下と考えていたものは全体の3%程度でした。学校で地震時には机の下にもぐるという指導をしているが、それはガラスや棚が倒れてくると考えているためであった。机の下にもぐる意味は天井の落下も含まれているので、そういった指導も理科の授業だけでなく避難訓練でも使えるのではないかと感じました。

 位置エネルギーの内容は、既習事項であったので、エネルギーと膜天井(質量の小さいもの)についての理解はしていました。この単元を学ぶ中で膜天井について言及できたら、生徒に興味を持たせられるのではないかと感じました。


 

高橋秀世先生・酒見好雄先生(理科)

 

 

高橋秀世先生・酒見好雄先生(理科)

  「研究者と対話したことをすぐ学校の生徒に話しました」
「1人でも2人でも、将来につながるきっかけとなれば」

高橋:直接、大学や研究機関の先生たちに話を聞ける機会は貴重だなと思って、「わくわくサイエンスナビ」に参加することにしました。私自身、日々の授業では、なるべく生徒がおもしろいと思えることをやろうと思っていて、自分が学んだことを生徒に還元できればという気持ちもありました。

酒見:私も、先端研究の施設を見学したり、研究者の先生たちの話をうかがえるところにいちばんの関心がありました。純粋な理科だけでなく、社会での応用を担う工学の大事さも生徒たちに伝えていきたいという気持ちがありましたね。

高橋:実際、プログラムを受けてみて、研究者の方に「地震が起きたとき『机の下にもぐれ』というのはなんのためか」という質問をしました。すると、「たとえ校舎は潰れなくても、天井や照明が落ちてくる恐れはあるので、机の下に隠れるというのは素晴らしい知恵だと思います」とご返事をいただきました。すぐにそのことを学校の生徒たちに伝えました。

酒見:「COMMAハウス」を見学させてもらいましたが、家のシステムを制御しようとするとき、まだ各製品をつくる企業間での制御技術の融合などが課題になっていると先生から話を聞き、さらに研究が必要なんだということも感じましたね。

高橋:学校での活用についてですが、1学年の理科を酒見先生と2人1組で担当していたので、理科の授業の中で活用しました。

酒見:時間の余裕があまりなく、1時間の授業の最後の20分ぐらいしか使えませんでしたが、「サブテキスト」を生徒たちに渡して、前半部分を高橋先生が、後半部分を自分が伝えるようにしました。

高橋:まず「どんな家に住んでみたいか」と生徒に聞くと、「大きい庭の家」「暖炉のある家」などの答えがありました。中には「空に浮かぶ家」といった、私の想像を超えるような答えもありましたね。実際の住宅の進歩していて、コンピュータで快適な状態を制御できるようになってきているということを伝えようとしました。時間をさらに使えば、世界には気候や風土に合ったいろいろな家があるといったことまで発展させて学ばせることができたと思います。

酒見:私のほうは、まず、研究者も子どもたちもやっていることは変わらないというメッセージが込められた「私たちはみんな科学者」のページを示しました。そして、建物の天井を安全に保てる「膜天井」の話(写真)や、より少ない材料で丈夫さを保てる「テンセグリティ」の構造などの話を伝えました。じつは生体の細胞内にもテンセグリティと同じような構造があるということでしたので、その話もしました。

高橋:私たちが担当したのは1年生でしたが、たとえば3年生の理科では「自然環境の保全と科学技術の利用」といった単元もあるので、こうした授業との関連でも活用できる気がしますね。

酒見:東京大学編を含め、私たちは3つのプログラムに参加しましたが、どれも普段は接することのできない施設を見学して、研究者とも対話をすることができますので、有意義な時間を過ごすことができると思います。今後、参加される先生方は、ご自身の経験を学校で少しでも子どもたちにお伝えされるといいのではと思います。全生徒の中の1人でも2人でも、その子の将来につながるようなきっかけが生まれれば、それで成功といえると思います。

高橋:自分が学ぶということは、さまざまな形で子どもにも還元されると確信しています。「わくわくサイエンスナビ」はその機会の一つになると思います。

高橋先生が生徒たちに伝えた「スマートハウス」の題材。

高橋先生が生徒たちに伝えた「スマートハウス」の題材。

酒見先生が生徒たちに伝えた「膜天井」の題材。

酒見先生が生徒たちに伝えた「膜天井」の題材。

>授業の中で「住んでみたい家」を発表する生徒(写真提供:高橋先生・酒見先生、以下も)。

授業の中で「住んでみたい家」を発表する生徒(写真提供:高橋先生・酒見先生、以下も)。

サブテキスト「私たちはみんな科学者!」のページを読み聞かせ。

サブテキスト「私たちはみんな科学者!」のページを読み聞かせ。

「教科書とは異なる授業で科学に興味をもち、科学の道に進むような子が現ればと思います」(高橋先生)。

「教科書とは異なる授業で科学に興味をもち、科学の道に進むような子が現ればと思います」(高橋先生)。

「東大の先生がおっしゃっていた『教科書に新しいことは書いていない』という話も伝えました」(酒見先生)。

「東大の先生がおっしゃっていた『教科書に新しいことは書いていない』という話も伝えました」(酒見先生)。

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